| AAAファミリー | AAAfamily。AAAモジュールを持つATPaseファミリーの総称(図3、 図4)。 AAAはATPases associated with diverse cellular activitiesの略。多彩な細胞機能に関わることから。 |
| AAA+ファミリー | AAA plus family。狭義のAAAタンパク質がもつSRHのアミノ酸配列のホモロジーはないが、AAAファミリーと二次構造、三次構造が共通するファミリー。AAAは1ファミリーとしてAAA+に含まれる。 |
| AAAモジュール | AAA module。AAAタンパク質が共通して持つATPaseドメイン(図2)。約230アミノ酸残基からなり、その中にWalkerモチーフとSRH領域を持つ。SRH領域がAAAモジュールを特徴付けている。 |
| ABCトランスポータースーパーファミリー | ABC transporter superfamily。種々の物質のトランスポーター(輸送体)として働くATPase群。ATP-binding cassetteの略。 |
| ARC | AAA ATPase forming Ring-like Complex。MycobacteriumやRhodococcusなど一部の 真正細菌に見つかったAAAタンパク質で、リング状のオリゴマー構造を取ることから 命名されたが、リング構造はこのAAAタンパク質に固有の性質ではない。典型的なAAA タンパク質と比べた場合、WalkerモチーフAのあとに15アミノ酸残基ほどの挿入があ る。MycobacteriumやRhodococcusは真正細菌としては例外的にプロテアソームを持つ 。ARCはプロテアソームの制御サブユニットと推定されている。 |
| Archaea (古細菌) | 高度好塩菌、好熱菌、メタン細菌、イオウ細菌などを含む一群の原核生物。分子系統的に真正細菌より真核生物に近縁とされている。 |
| ATPase | ATPのγ位のリン酸基をMg2+(またはCa2+)存在下に加水分解してADPと無機リン酸(Pi)に分解する酵素の総称.EC3.6.1.3およびEC3.6.1.32~38に分類される.ATPの化学エネルギーを他のエネルギーに変換することが重要である.エネルギーの変換の仕方によって多くの種類のATPaseが存在する.構造的特徴からは,Walker型ATPase,アクチン型ATPase,GHKL型ATPase,P型ATPase,GroEL型ATPアーゼ(GroEL-type ATPase)などがある。 |
| Cdc6p | cell division cycle 6 protein。Orcに結合しDNA複製開始の進行に必要なタンパク質。 |
| Cdc48p | 出芽酵母のVCP/p97ホモログ。小胞体膜の融合に関与する。cdc48変異株は非許容温度で、出芽した娘細胞と母細胞の間のネックのところで核が分裂せずに止った状態で細胞周期が停止する。CDCは酵母の細胞周期(cell division cycle)を司る遺伝子群に付けられている。 |
| Clpプロテアーゼ | 細菌で見つかったATP依存性プロテアーゼのファミリー。葉緑体にも存在する。ATP aseサブユニットとプロテアーゼ活性サブユニットからなる。ClpAP, ClpXP, ClpYQ(H slVU)など。始めカゼインを基質として同定されたため、caseinolytic proteaseの略 として命名されたが、現在では相同なタンパク質の総称として用いる。 |
| Cytochrome c oxidase | チトクロームc酸化酵素(図7)。ミトコンドリア内膜に存在する電子伝達系の末端酸化酵素。 |
| ERAD/小胞体関連分解 | ER-associated protein degradation。ミスフォールドした小胞体タンパク質を細胞質に逆輸送して分解すること。 |
| F1 Fo ATPase | プロトン(F型)ATPaseであるが生理的には逆反応のATP合成を触媒する酵素で、ミトコンドリア内膜、葉緑体チラコイド膜や細菌細胞膜に存在する。それぞれ複数のサブユニットで構成される膜タンパク質複合体Fo部分とそれに結合したATPase/ATP合成酵素の本体F1部分からなる。 |
| FtsH | 真正細菌に共通して存在するAAAメタロプロテアーゼ(図6)。真核細胞のミトコンドリア(図7)や葉緑体/色素体にもホモログがあり、葉緑体/色素体のホモログの一部は同じくFtsHとよばれる(図1)。HflBとも。 |
| Gタンパク質 | GTP結合タンパク質のうち、ホルモンや神経伝達物質が結合する受容体と共役し、トランスデューサーとして機能するファミリーを特にGタンパク質と略称する。 |
| Holliday junction | 組換え過程で相同な二本鎖DNAが構成する中間体構造(Hollidayが提唱)。 |
| HslU | heat shock locus U。プロテアーゼサブユニットHslVと複合体を形成する制御ATPaseサブユニット。ClpYとも。 |
| i-AAA | intermembrane AAA protease。ミトコンドリアの内膜に存在する膜結合型AAAプロテアーゼのうち、活性部位をミトコンドリアの膜間スペースにもつもの。m-AAAに対する言葉。 |
| m-AAA | matrix AAA protease。ミトコンドリアの内膜に存在する膜結合型AAAプロテアーゼのうち、活性部位をミトコンドリアのマトリクス側にもつもの。i-AAAに対する言葉。 |
| Mcm | minichromosome maintenance。真核細胞の染色体DNA複製開始に働くヘリケース。最初、酵母のミニ染色体の安定性に関わる遺伝子として同定された。 |
| NEM | N-ethylmaleimide。SH基の修飾試薬。 |
| NSF | NEM-sensitive factorまたはNEM-sensitive fusion proteinの略。タンパク質輸送において輸送小胞と標的膜の融合に関与する。酵母におけるNSFのホモログはSec18p。 |
| Orc | origin recognition complex。真核細胞の染色体複製起点を認識して結合し、複製開始に働くタンパク質複合体。 |
| PAN | proteasome-activating nucleotidase。古細菌のもつプロテアソームの制御ATPase。 |
| PCNA | proliferating cell nuclear antigen。真核細胞のDNAクランプ。 |
| p47 | p97と複合体を構成する分子量47 kDaのタンパク質。出芽酵母のホモログはShp1p。 |
| p97 | VCP/Cdc48pホモログ。分子量が97kDaであることから。有糸分裂時に一旦小胞化した小胞体やゴルジ体が再構築されるときの膜融合に働く。 |
| Pex | ペルオキシソーム形成因子の総称。このうちPex1pとPex6pがAAAタンパク質。これまで、出芽酵母でPas1pとよばれていたのがPex1pに、出芽酵母でPas8p、ラットでPAF-2とよばれていたのがPex6pとホモログの名称が統一された。 |
| Rad | radiation。DNA損傷の修復に働くタンパク質。 |
| RFC | replication factor C。DNAポリメラーゼをつなぎ止めるDNAクランプをDNA上に乗せる装置。クランプ・ローダー(clamp-loader)。 |
| RuvB | resistance to UV B。Holliday junctionで働くDNAヘリケース。 |
| σ32 | 大腸菌などで熱ショック遺伝子のプロモーターを特異的に認識する32 kDaのσ因子。 |
| 26S | Sはスベドベリ(Svedberg)単位。沈降係数の単位。沈降係数は時間の次元をもち、高分子を超遠心でペレットにするために必要な時間を推定できる。タンパク質(複合体)などの高分子の大きさを便宜的に表すのにしばしば用いられる。 |
| Sec18p | 出芽酵母のNSFホモログ。分泌(secretion)過程に必須の因子として同定された |
| SNAP | soluble NSF attachment proteins。SNAPにはα、β、γの3種類があり、α-SNAPの出芽酵母のホモログはSec17pである。 |
| SNARE | SNAP receptor。小胞に存在するv-SNAREと標的膜に存在するt-SNAREがあり、v-SNAREとt-SNAREが結合して小胞と標的膜がドッキングすると考えられている(SNARE仮説)。 |
| SNARE仮説 | 特異性の異なるv-SNAREとt-SNAREが結合する結果、輸送小胞と標的膜の選別的ドッキング、融合が起こるという説。 |
| SRH | second region of homologyの略。AAAモジュール内にあるAAA ATPaseによく保存された特徴的な配列(図2)。 |
| SSDドメイン | sensor and substrate-discrimination domain。AAA+タンパク質のαヘリックスに富むC末端ドメイン。ここにはセンサーIIと特異的基質結合部位があると考えられている。 |
| t-SNARE | target-SNAREのこと。成分はシンタキシンファミリーとSNAP-25 ファミリー(synaptosomal-associated protein 25kDa; SNAPとは偶然同じ名前だが異なるタンパク質)。SNARE参照。 |
| V-ATPase | 液胞(vacuole)型ATPaseの総称。 |
| VCP | valosin-containing proteinの略。有糸分裂時に一旦小胞化した小胞体やゴルジ体が再構築されるときの膜融合に働く。最初に報告されたAAAタンパク質。始め、valosinというペプチドホルモンの前駆タンパク質として分離されたが、その後valosinは精製過程でのアーティファクトであることが判明。p97とも。 |
| v-SNARE | vesicle-SNAREのこと。成分はVAMP(シナプトブレビンとも呼ばれる)ファミリー。SNARE参照。 |
| Walker型ATPase | WalkerモチーフをもつATPase.もっとも一般的なATPaseで,F型ATPase,V型ATPase,ABCトランスポーター,モータータンパク質,ヘリケース,AAAタンパク質などを代表的な例として多数存在する。 Gタンパク質はGTPと親和性が高く,GTPを加水分解するが,これも構造的にはWalker型である。 |
| Walkerモチーフ | Walkerによって提唱された多くのヌクレオチド結合タンパク質に共通して存在するモチーフ(図2)。GXXXXGKT/Sをコンセンサス配列に持つWalkerモチーフA(Pループともよばれる)は、NTPのリン酸基と結合し、疎水性のアミノ酸の配列のあとに負電荷のアミノ酸が来るWalkerモチーフBは、Mg2+に結合する。 |
| Yta | yeast Tat-binding proteinの略。出芽酵母のAAAタンパク質の多くはこの名前をもつ(出芽酵母のAAAタンパク質)。AAAタンパク質の一つTat-binding protein-1(TBP-1)との相同性を指標に遺伝子が分離されたため。 |
| Zellwerger症候群 | ペルオキシソーム形成タンパク質因子の遺伝的欠損によると考えられる疾患で、患者は重篤な神経症状を呈し、乳幼児期に死亡する。 |
| Zn2+結合配列 | His-Glu-X-X-His(Xは任意のアミノ酸)からなるZn2+メタロプロテアーゼに共通して存在するモチーフ。2つのHis残基がZn2+に結合し、Glu残基がプロテアーゼの活性残基になっている。 |
| アポトーシス/apoptosis | 正常な発生過程で、遺伝的制御下に特定の細胞が特異的時期に起こす細胞死。プログラム細胞死とも。 |
| 遺伝性痙性対麻痺 | hereditary spastic paraplegia。緩徐進行性の主に下肢の痙性歩行障害と筋力低下を起こす遺伝性疾患。上位運動ニューロンの変性を示す。 |
| エンドソーム | endosome。真核細胞の細胞膜からリソソームに至る過程で高分子の代謝を司る一重膜の細胞小器官。 |
| オルガネラ・細胞小器官 | organelle。真核細胞の内部で原形質の一部が特殊に分化し、一定の機能を持つ構造(図1)。 |
| カリオガミー | karyogamy。酵母などが接合して核融合に至る過程。 |
| クランプ | clamp。DNAポリメラーゼが鋳型DNA上を滑るように連続的にDNAを合成するためにDNAポリメラーゼをDNA上につなぎ止めるリング状の構造。 |
| 減数分裂 | meiosis。連続して2回の核分裂が起こり、染色体数が半減する分裂。 |
| コリシン | colicin。大腸菌が生産する他の大腸菌株に致死的に働くタンパク質で、いくつかのタイプがある。バクテリオシンともよばれる。 |
| ゴルジ体 | Golgi body。扁平な袋が重なった形の細胞小器官。小胞体に近接する側のゴルジ層板をシス層、反対側をトランス層、その間を中間(メディアル)層とよぶ。小胞体から細胞膜への細胞内輸送の中継基地として機能し、分泌タンパク質の修飾・プロセシングを行うほか、それぞれの目的地への選別を行う。 |
| 色素体 | plastid。植物の細胞に含まれる葉緑体とその類縁の構造体の総称。 |
| 小胞体 | endoplasmic reticulum。細胞質に網状に広がる細胞小器官。リボソームが結合した粗面小胞体とリボソームの無い滑面小胞体がある。タンパク質合成、複合脂質の合成、物質代謝、Ca2+貯留の場となっている。 |
| 神経変性疾患 | neurodegenerative diseases。ある決まった神経細胞群が進行性の変性・脱落を生じ、様々な神経・精神症状を起こす一群の疾患。多くの場合、原因タンパク質が何らかの構造異常を生じ、凝集体を形成する。 |
| ダイニン | dynein。モータータンパク質の一種。細胞内で様々な物質の運搬などに働くAAA+モーター。ダイニン重鎖にはAAA+モジュールが6回繰り返し、リング状のheadを形成する。軸糸ダイニンと細胞質ダイニンに分類される。力の単位dyneからの命名。 |
| チラコイド | thylakoid。葉緑体やラン藻の内膜系をなす膜胞。チラコイド膜には光合成に働く酵素群が存在する。 |
| 熱ショックタンパク質 | heat shock protein。熱ショックによって合成が誘導されるタンパク質の総称。分子シャペロンまたはプロテアーゼとして機能するものが多い。 |
| フォールディング/アンフォールディング/リフォールディング/ミスフォールディング | folding/unfolding/refolding/misfolding。タンパク質が折れ畳んで特異的な三次元構造を取ることをフォールディングという。自発的に起こる場合、折れ畳みといい、シャペロンなどの助けを必要とする場合、折り畳みという。正しいフォールディング状態がほどけ、立体構造が崩れることをアンフォールディングという。 これが再びもとの構造に戻ることをリフォールディングという。巻き戻り、巻き直しなどと訳すが、DNAがunwindすることを、巻き戻しというので注意が必要。 誤った構造に折れ畳むことをミスフォールディングという。変性(denaturation)と再生(renaturation)は、アンフォールディングとリフォールディングとほぼ同義語。 |
| プロテアソーム | proteasome。多機能巨大複合体プロテアーゼ。α、βサブユニットから構成されたプロテアーゼ機能を司る20Sプロテアソームとそれに制御サブユニット群が会合したダンベル型の26Sプロテアソームがある。26Sプロテアソーム(図5)はATP依存的にタンパク質を分解する。 |
| 分子シャペロン・シャペロン | molecular chaperone。タンパク質の正しい高次構造形成や複合体形成を助けるタンパク質。熱ショックタンパク質であるものが多い。 |
| ヘテロオリゴマー | hetero-oligomer。異なる種類のタンパク質が会合した多量体。 |
| ヘテロティピックな融合 | heterotypic fusion。ゴルジ体内輸送のように小胞と層板という異なった種類の膜の融合。ホモティピックな融合参照。 |
| ヘリケース | helicase。DNAヘリケースとRNAヘリケースがある。二本鎖の核酸をATP加水分解のエネルギーを使ってほどく酵素。 |
| ペリプラズム | periplasm。大腸菌などグラム陰性菌は内膜(細胞質膜)の外側に細胞壁(ペプチドグリカン)と外膜をもち、2つの膜に挟まれた空間がある。この空間をペリプラズムとよぶ(図6)。物質代謝や物質輸送など生理的に重要なタンパク質が局在している。 |
| ペルオキシソーム | peroxisome。一重膜細胞小器官で、過酸化水素水を生成する一群のオキシダーゼとそれを分解するカタラーゼが局在する。β酸化など多くの重要な機能を有する。ミクロボディとも。 |
| ホモオリゴマー | homo-oligomer。同一のタンパク質が会合した多量体。 |
| ホモティピックな融合 | homotypic fusion。小胞体膜融合の場合のように均一な膜同士の融合。ヘテロティピックな融合参照。 |
| ポリグルタミン病 | polyglutamine diseases。病因タンパク質がもつポリグルタミン鎖が異常伸長し、ポリグルタミン凝集体が形成され、神経細胞が機能障害を起こす病気。 |
| 膜ポテンシャル | membrane potential。膜の両側ではイオン濃度差などにより電位差Δψが形成される。このΔψを膜ポテンシャルとよぶ。 |
| ミトコンドリア | mitochondria。内外2枚の膜に包まれた呼吸を主要な機能とする細胞小器官。複数 のAAAタンパク質が存在する(出芽酵母のAAAタンパク質参照)。 |
| メタロプロテアーゼ | metalloprotease。Zn2+などの重金属を活性中心に持つタンパク質分解酵素。 |
| 有糸分裂 | mitosis。真核細胞の細胞核分裂。紡錘体が形成されることからそうよばれる。本来は紡錘体の形成されない無糸分裂に対する用語だったが、現在では生殖細胞における減数分裂と区別するために用いる。 |
| 輸送小胞 | transport vesicle。小胞輸送において、細胞小器官から細胞小器官へとタンパク質などを包んで運ぶ小さな膜小胞。 |
| 葉緑体 | chloroplast。藻類と緑色植物に存在する光合成を行う細胞小器官。内外2枚の膜に包まれ、内部にはストロマや内膜系(チラコイド)がある。複数のAAAプロテアーゼが存在する。 |